2010/09/25

#13 : ダーネ

ここは年間を通して気温が高く、雨もよく降る典型的な熱帯気候です。 そのため食料はとても豊富、そこらじゅうの木に果物がなっていて、 聞けば有史以来飢餓で困ったことがないらしい(当然ながら真偽不明)

たしかに町の中心から一歩外に出れば、至る所にバナナやらココナッツやらが生えていて、 自分で耕さなくともいざとなれば取って食えるような状態です。

そんな国だからこそ、食事の量もかなりのもの。 ホームステイなどしていると、「もっと食えっ!!」と わんこそば並みの勢いでご飯を積んできます。

僕はそもそも大飯喰らいではないのですぐさまギブアップするのですが、 問題はその余ったご飯を一体どう処理するのかということ。

日本なら勿体ないとかいいながら生ごみにしてしまいますが、 ここの(特に仏教徒の)家庭ではダーネという、いわゆる施しの考えが強いため、 そこかしこの犬や猫にダイレクトに与えてしまいます。

ランカではほんとにもうそこら中に野良犬、野良猫、野良牛までいるわけですが、 それは即ちこの「ダーネ」の風習が下支えしているといっても過言ではありません。 敬虔な仏教徒の間では特に「ダーネ」+「不殺生」の考えが強いため、 当然ながら野良犬パラダイスが出来上がってしまうわけです。

ここで日本人なら、例えば食塩の多い人間食は犬の体に悪いだろうとか、野良犬は危険なので増やさないようにしようだとか色んな考えを巡らすところでしょうが、 彼らにとっては仏教的価値観がなによりも強く、 さらに将来の長いスパンではあまり物事を深く考えないという性質もあるらしく、 ダーネ=徳を積むこと という勝利の方程式が一般化しているようです。

村の人にこのことについて質問すると、とても誇らしげに話します。 僕からしたら反論したい気持ちも山々で非常に歯がゆいところですが、 おそらくそこには宗教的・文化的に大きなギャップが存在するので、 いくら話してもお互いの考えが落ち着く場所はないでしょう。

ここに来る前に、スリランカは敬虔な仏教国だと知って、 倫理的にわかりあえる部分が多いのでは、と想像していました。 しかし自分には影響を受けている宗教観や思想はあっても、それはひどく柔らかで相対的。実際には、さわらぬ神に祟りなしといったところです。

No comments:

Post a Comment